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1:フィンランドから届くオーロラ材
2012.09.29木の記憶
木は、何度となく廻る四季のつづった物語を、オーロラが焼きついた年輪としてみずからの心に刻印する。
フィンランドに育つ木の生涯は厳しい。
与えられた大地の一画で、幾多の歳月に戦い続けたその生い立ちの記録が、木とその心に刻まれる。
木は、氷河期に生まれた岩盤に根を張り、その粘り強さで石さえも屈服させる。
その根から北欧の清らかな地下水を吸い上げ、これ以上望むべくもない澄みきった空気を満喫する。
秋はさみしい。
日に日に光は減り、ふと気がつくと空気も冷え込んでいる。
秋の訪れに慣れるということはない。
嵐が容赦なく木肌をひっかき、冷え込みの厳しい夜には、苔の生えた枝が身をよじらせながら震えている。
初雪が舞い、北国に長い冬がやってくる。
芯までいてつく氷点下50度もの寒さの中で、木はじっと立ちつくす。
時まで凍りついてしまうほどの寒さの中で、大空で揺れるオーロラが木々たちを勇気づける。
晩冬、厚く雪が積もり、今にも折れそうな枝は、ただじっと耐える。それが彼らたちのやり方だから。
冬がようやく終わり、夢から覚めたように太陽が顔をだし北国の自然をとかす。
一度戻って来た太陽は、まるでどこに行くのも拒むかのように、何カ月も沈まない。
自分自身がもたらした、いたるところに溢れる喜びを、満足そうに確かめているかのようだ。
渡り鳥は何千キロのかなたから、見覚えのある木に戻り巣を作る。
白夜の夕べ、満足そうに鼻歌を歌う木。
彼らは周囲のさざめきと活力を感じ、自分自身もその一部であることを知っている。
木は夏ごとにひな鳥たちの飛行訓練や小熊の成長を、そしてコケモモらの実が熟するのを眺めてきた。
こうして1年は過ぎ、木にはまた年輪が一つ印された。
木は切られても生き続ける。木は思いやりと手厚い扱いを感じとる。
フィンランドの木の心には、オーロラの記憶が刻まれている。
フィンランドの木の記憶力は確かだ。
ご質問・ご意見は篠原商店 町田まで。 TEL:03-3995-7288 FAX:03-3995-4588
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